- 2008年12月21日 03:10
- CBD/COP10に向けて | JFB:生物多様性フォーラム
水産資源は誰のもの ── なごや環境大学「生物多様性に自分の入口を見つけよう!」第3回
シリーズの3回目になる今回は、水産資源について講義を受けました。
まず、海にあるものはすべて「水産資源」として扱われていると聞いてビックリでした。海洋生物は「資源」であり、漁業対象外の生物でさえ「未利用資源」という呼び方だそうです。資源という呼び方は、それが個々の生き物として扱われていないように感じました。
今回はマグロに注目し、国際的な取り決めや現状について説明がありました。日本は世界最大のマグロ消費国で、世界の漁獲量の約3割を日本が消費しており、70カ国もの国が日本にマグロを輸出しているそうです(2002年)。
こんなに私たちになじみの深い魚ですが、1983年には西大西洋のクロマグロ業が崩壊し、6千トン前後あった漁獲量が千トン強になってしまったとのことです。また、産卵能力のある親魚の数が1970年からの30年間で1/10になってしまったそうです。
このような状況なのに、西大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)で合意されている漁獲量は、ICCAT科学委員会が2006年にした提言(漁獲制限15,000tなど)の倍近くの量だそうです。また、漁獲量以上を獲る違法なマグロ漁も行われているそうです。これではマグロ類は全然守られないのではと思ってしまいました。実際、国際自然保護連合では、「絶滅の危機が差し迫っている種」にミナミマグロや大西洋西部クロマグロを挙げているとのことでした。
日本の漁業管理制度についても話がありました。漁獲量を管理する方法には、総漁獲可能量を漁業者等で分配するIQ方式(個別割当方式)やITQ方式(譲渡可能個別割当方式)と、自由競争を行い総漁獲可能量に達した時点で採捕を停止させるオリンピック方式という方法があるそうです。イギリスやアメリカ、オーストラリアなどの国がIQやITQ方式をとっているのに対し、日本はオリンピック方式とのことでした。
IQ、ITQ方式では、個々の漁獲量が決まっているので、漁業者が都合の良い時に漁業ができるのですが、オリンピック方式だと漁業者個々の漁獲量の割り当ては決まっていないので、早い者勝ちのようになってしまうそうです。さらに少しでも多くの漁獲量を得るために、まだ産卵能力のない若い魚まで捕ってしまうとのもあることでした。
これではいつか魚がいなくなってしまう可能性もあります。これからもずっと漁業を持続させていくためにはIQやITQ方式にして、むやみに若い魚まで捕らないようにしていった方が良いと思うのですが、まだ日本では取り入れられないようです。しかし、IQ、ITQ方式の導入を勧める「水産業改革高木委員会提言」もあるとのことでした。
また、過剰漁業の問題を解決するための国際的な慈善団体である、海洋管理協議会(MSC)の「海のエコラベル」の紹介がありました。持続可能な漁業で獲られた水産物についているそうです。他にも海洋保護区に関する話があり、最後に「水産資源は人類共有の財産である」と締めくくられました。
質疑では「どうして日本はオリンピック方式なのか?」などの質問とともに、「消費者がこれからの世代のことも考えて消費していくことが大切なのでは?」「漁業関係者だけでなく、加工業者等の意識も変えなくてはいけないのでは?」などの意見も出ていました。
私も今回の講義を聞いて初めて水産資源のことなど知りました。海生生物を守ることは人間の未来を守ることにもつながると思います。持続可能な漁業ができるよう、まず自分でもできる「海のエコラベル」がついた魚を選ぶようにしていきたいと思います。
(なつ)