- 2010年2月16日 23:48
- CBD report | CBD/COP10に向けて
なごや環境大学共育講座(http://www.n-kd.jp)
生物多様性条約と先住民族の権利
-生態系サービスを守る先住民族の智慧と伝統-
第2回 先住民族と地域住民に学ぼう
‐伝統的知識に学ぶ生態系サービスの持続可能な利用‐
講師: 長野 義春 さん(越前市エコビレッジ交流センター)
日時: 2010年1月30日(土)
会場: 名古屋市市政資料館
企画: 生物多様性フォーラム
今回は、先住民族や地域の伝統を受け継ぐ人達がいなかったらどうなるのかを学びました。
私達が食べている様々な食べ物や使っている薬など、先住民族に伝わってきたものを利用しているものがたくさんあります。トマトやジャガイモといったなじみの深い食べ物も先住民族が伝えてきたものです。マラリアの薬や血圧の薬なども先住民族の方々が伝えてきたものを参考にしているそうです。つまり今の私達の生活は、先住民族が自分達の伝統を引き継いでくれていたために成り立っていることがたくさんあるということです。これは、未来にも言えることです。今はまだ先住民族の中だけで伝えられていることでも、その中には食料難の時に役立つ食べ物や、多くの人を救う薬になるものなどがある可能性があります。先住民族の生活、伝統を守るということは私達のためでもあるということがよく分かりました。
しかし現状は、先住民族が使い続けていた薬草を自分達の利益のために採取し絶滅の危機に追いやったり、先住民族が手に入れられないようにしたりしています。他にも先住民族に必要のない道路事業などを行い、先住民族の生活を破壊したということもあるそうです。先住民族を守るためには、先住民族が伝えてきた生物資源などで得られた利益を先住民族にも還元したり、先住民族の社会や生活を守ったりしないといけないのに、それが行われていないのです。
生物多様性条約は、生物の保全などのイメージが強いですが、第8条J項には先住民族や地域社会の伝統的知識などを守り、それらがもたらす利益の公平な配分を奨励するとあります。そしてこれらの問題は条約の中で一番多く議論されていることでもあります。日本では、アグウェイ・グー・ガイドラインのことがあまり聞かれないのですが、開発などを行う場合に環境だけでなく先住民族の社会や文化などに影響を与えないかアセスメントをするガイドラインで、生物多様性条約のCOP7で採択されたものです。しかし、日本はそのことを話題にしていないように、積極的に先住民族の権利を守るという姿勢ではありません。先住民族の生活を脅かす事業を行ったこともあります。その日本の名古屋で開かれるCOP10に、先住民族は自分達の権利を守るために参加されます。この地で出迎える私達はもっと生物多様性条約について理解し、先住民族の伝統的知識の大切さを認識するとともに、先住民族がどのような思いを持って参加するのか知っておく必要があると思いました。
また今回の話を聞いて、先住民族の伝統のように、日本の地域社会で伝わってきた知識や食べ物も大切なものであると思いました。これからは地域で伝わっていることを見直してみようと思います。(なつ)