- 2010年2月28日 23:18
- CBD/COP10に向けて | articles:記事
なごや環境大学共育講座(http://www.n-kd.jp)
生物多様性条約と先住民族の権利
-生態系サービスを守る先住民族の智慧と伝統-
第3回 日本は単一民族? それとも多文化共生?
─ 日本の中の先住民族問題 ─
講師:上村 英明 さん(恵泉女学園大学 教授/市民外交センター 代表)
日時:2010年2月20日(土)
会場:名古屋市市政資料館
企画:生物多様性フォーラム
今回は、先住民族とは何かという一番基本的なところから説明していただきました。まず、日本に住んでいる民族とは何でしょうと言われて「日本民族???」。日本の戦前の教科書には、日本には大和民族とアイヌ民族がいるとの記載があるそうです。自分は大和民族だったのか、今まで意識したことがなかった・・・。次に、「開発」と「開拓」の違いは何でしょうと言われて、また「開墾するかどうかかな?」。北海道もアメリカ西部も「開拓」という言葉が使われていますが、「開拓」という言葉には未開なものを文明化するという意味が含まれているとのこと。
先住民族とは、1.植民地化された(自らの意志で「国民」となっていない)2.自らの将来のために、文化や伝統を次世代に伝える意志がある 3.土地や資源、領土の概念を持っている − 民族だそうです。(注:2009年の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書」によると、「一地域に、歴史的に国家の統治が及ぶ前から、国家を構成する多数民族と異なる文化と アイデンティティを持つ民族として居住し、その後、その意に関わらずこの多数民族の支配を受けながらも、なお独自の文化とアイデンティティを喪失することなく同地域に居住している民族である」)
日本の植民地政策により、アイヌモシリは北海道となり自然は次々破壊され、アイヌ民族は日本国民となり文化を奪われ、理由のない差別が始まった。歴史を追っての解説はわかりやすく、自らの文化=暮らし方の全てを否定されることがどういうことか、実体験はなくてもその恐ろしさを少し想像できました。
生物多様性条約は、先住民族の伝統的な知識・工夫・慣行(=文化と言い換えられると思う)の保存、維持を謳っています。生物多様性の保全には、その地域で培われた伝統的知識や慣行が不可欠であり、その多くは先住民族やその地域の社会・コミュニティが保有しています。上村さんは、その地域の知識に気づかず他の地域の文化を移植しようとするような、「そういう(知識や文化などに対する)概念を持たない人」の怖さについても言及されました。
先住民族の中には、国に認められていない民族も、特にアジアには多くあり、そのような民族の代表も生物多様性条約COP10に来るでしょう。彼らが求めるものについて、直接何か働きかけができるわけではありませんが、今回の講座を通して良かったのは、整理された情報を得ることによって、先住民族という今までほとんど全く触れることのなかった一つの世界に対して、珍しいものに対する好奇心の代わりに、尊敬・尊重する気持ちを実感として持てたことだと思っています。(tomo)
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